taotrooper: It's a polar bear dancing the hula; your argument is invalid (Default)
Kiri ☂ ([personal profile] taotrooper) wrote2004-04-01 12:06 am

Five

【~遠くにいても~】


毎日色んなことを、侑子とクロウに教わる。
お勉強は大変だけど楽しい。



今日のお勉強はいつもと違う。

ソエルはクロウのところに。
ラーグは侑子のところにいる。

なになに?
二人べつべつ。何のお勉強?

「あなた達はね。離れた所にいてもお互いにお話出来るのよ。電話するみたいにね」
そうなんだ。誰とでもそうなの?
「いや。ソエルとラーグ、二人の間だけだね」

二人だけ。
ソエルとラーグだけ。

ないしょのお話だね。
くすくす。
なんだか楽しいね。

「さ。お話してみて、ラーグ」
うん、侑子。
何を話そう。
そうだ。電話みたいだったら、こうだよね。

 【モシモーシ、モシモーシ】

あ。ラーグの声がするよ。
「お返事してみてくれるかな。ソエル」
うん、クロウ。

 【モシモーシ、モシモーシ】

あ。ソエルの声だ。
「通じてるみたいね。良かったわ」

 【侑子がうれしそうだよ】
 【クロウもうれしそう】
 【良かった】
 【良かったね】

お話楽しいな。離れてても二人でお話出来るんだ。もうちょっとお話していようよ。

 【あのね。クロウが侑子は飲み過ぎだっていってたよ】
 【侑子、クロウが飲み過ぎだって】

「なんですって?」

 【あのね。侑子がクロウは陰険メガネだっていってた】
 【クロウ、侑子がクロウは陰険メガネだって】
 
「ははは。そうかー」

 【あとね。クロウが侑子に出すお酒に薬草をいれて、ちょっと薄めとこうかなって】
 【あとね。侑子が今度クロウのメガネ、隠しとこうかなって。屋根裏とかに】

あ。侑子が笑ってる。ちょっとおでこのとこ、怒りマークになってるけど。
あ。クロウが笑ってる。なんだかちょっと困ったような、でも楽しそうな。

お話楽しいね。
どんなに遠くても、声が聞こえる。


また二人でないしょのお話しようね。